R129はチャイルドシートの最新安全基準

チャイルドシートには安全基準があり、2023年9月1日より新基準であるR129の完全適用が開始されました
2025年現在、店頭では新基準のR129に適合した商品しか販売されていません(リサイクルショップ等を除く)

前の基準から何が変わったの?

上の子どものときに買ったチャイルドシートは前の基準だけど
これからも使えるの?
結論、旧基準のチャイルドシートは今後も引き続き使用できますが、可能なら新基準のチャイルドシートの購入をオススメします
その理由は、安全性が格段に向上しているからです
この記事では、
・R129新基準はR44旧基準から何が変わったのか
・新基準の商品をオススメするわけ
・新基準商品購入時の注意点
について、ベビー用品専門店で15年以上店長を務めている私「しょぱ」が詳しく解説します
今は旧基準のチャイルドシートを使用中の方でも、新基準で何が変わったのかを知っておくことで、今後ジュニアシートへの買い替え時などで役に立つと思いますので、ご覧いただけると幸いです
安全な商品を買うならEマークの付いた商品を買おう

Eマークとは、チャイルドシート先進国であるヨーロッパの安全基準を満たした証明です
2012年7月以降、Eマークがないチャイルドシートは国土交通省から販売を許可してもらえません
しかし、ネットで販売されている商品の中にはEマークのない商品も紛れています
安さを求めて粗悪な商品を購入しないために、
・店頭で購入する
ことをオススメします
新基準R129って何?旧基準R44との違いは?
R129新基準は子どもの安全を守るために推進されたチャイルドシートの新しい国際基準で、2023年9月1日より完全適用が開始しています
2012年より導入されていたR44旧基準から11年ぶりに安全基準が改訂されました
新基準への変更点を一言でいうと、「より安全性が高まった」ということです
主な変更点は4点です
1.後ろ向き取付期間が12か月→15か月に延長

出典:知ってる?チャイルドシートの新安全基準「R129」 | ベビー用品の通販 | コンビ公式ブランドストア
乳児期は車の進行方向に対して後ろ向きでチャイルドシートを設置しますが、後ろ向きで取り付ける期間が生後12か月前後(体重9kg未満)→最低生後15か月未満に延長されました
また月齢が15か月を過ぎても、少なくとも身長が76cmになるまでは後ろ向き取付を継続しましょう
後ろ向き期間を延長することで、より安全性の向上が期待できます
乳児時期にチャイルドシートを後ろ向きで取り付ける理由は、事故や急ブレーキ時の衝撃を背中全体で受け止めることで分散させるためです
乳児期に前向き取付をした場合、事故や急ブレーキ時に頭が大きく振られることとなり、骨格が未発達な子どもは脊椎や脳に大きな衝撃を受けてしまいます
これを防ぐため乳児期は後ろ向きでの取り付けが義務化されています
アメリカの小児科学会では、2歳まではチャイルドシートを後ろ向きに設置して使うことを推奨していて、ヨーロッパでは、4歳まで後ろ向きを勧めているそうです
4歳まで後ろ向きで乗せられるチャイルドシートもネットを中心に販売されていますので、より安全性を求めるママさん、パパさんは検討してみましょう
2.表記が体重基準→身長基準に

出典:知ってる?チャイルドシートの新安全基準「R129」 | ベビー用品の通販 | コンビ公式ブランドストア
新基準では適用基準が身長で表記されるようになりました
以前の体重表記と比較して、シートベルトの正しい位置での使用が可能になり、より子どもの体格に合わせたチャイルドシートの選択が可能になりました
横からの衝撃試験が追加

出典:知ってる?チャイルドシートの新安全基準「R129」 | ベビー用品の通販 | コンビ公式ブランドストア
チャイルドシートを商品化する際、事前に衝突試験を行うことで安全性の確認を行いますが、この項目に従来の前後衝突に加えて側面からの試験が追加されました
その理由は、側面からの衝突は交通事故の中でも特に危険な事故形態の一つだからです
なぜなら車体の側面は正面や後面に比べて衝撃を吸収する構造になっておらず、乗員と衝突物との距離が短いためです。そのため、側突事故では死亡事故や重傷を負うリスクが極めて高くなります
新基準で側面からの衝撃にも対応することで、安心して子供を乗せることができるようなりました
試験用ダミー人形に計測センサー導入

出典:知ってる?チャイルドシートの新安全基準「R129」 | ベビー用品の通販 | コンビ公式ブランドストア
衝突試験の際はダミー人形を用いて事故の際の子どもの動きを確認しています
このダミー人形に計測センサーを導入することで、より精密に子どもの体にかかる負荷を予測できるようになりました
R129基準のチャイルドシートを選ぶメリット3選

上記変更点をもとに、R129新基準のチャイルドシートを購入するメリットを3つ紹介します
R129基準のチャイルドシートを選ぶメリットは、
- より高い安全性
- より快適な使用
- ISOFIXの使用
の3点です
より高い安全性
ここまでご覧いただいたとおり、旧基準と比較して新基準は様々な点において安全性が向上しているため、より安心して子どもの乗せることができます
特に側面からの衝突対策として、旧基準よりも体全体をカバーする形状の商品や側面のシートクッションの厚みが増した商品が増え、より子どもを包み込んで守ってくれるようになった印象です
より快適な使用
適用基準が身長表記となったことで、子どもにとっても快適に使用できるようになりました
R44旧基準=体重で判断すると、体重は基準を満たしていても身長が小さめの子どもの場合、必要な身長が足りず、シートベルトの位置が合わなかったり、座り心地に影響が出る可能性がありました
R129新基準=身長で判断すれば、このような問題も解決でき、快適な使用が可能となりました
ISOFIXの使用
ISOFIXとは、シートベルトを使わずにチャイルドシートと車の固定金具を連結するだけで
固定できる取り付け方法で、2012年7月以降に製造された車には標準装備されています
従来のシートベルト固定は取り付け方に個人差があり、警視庁の統計によると、約30%の人が不完全な取り付けを行っている”ミスユース”の状態であると記されています
外部リンク:子供を守るチャイルドシート|警察庁Webサイト
せっかくチャイルドシートを使用していても、ミスユースの状態では万一の際にチャイルドシートが外れたり、適切な機能を果たさない可能性があります
これを防ぐために、R129新基準ではISOFIXの使用が原則となりました
ISOFIXは取り付け方も簡単で、誰でも確実に取り付けできるのでミスユースの心配がなくなります
基本的な取り付け方はこちらの動画でとても分かりやすく解説されていました
出典:https://youtu.be/VLU-cyZElR0
商品によっては腰元のアンカー”ロアアンカレッジ”に加えて、背もたれの後方に固定する金具”トップテザーアンカレッジ”の装着が必要な商品もあります

出典:ISOFIX(アイソフィックス)とは | 日本製チャイルドシート エールベベ AILEBEBE 公式サイト
購入前に車が搭載している金具を確認し、検討中のチャイルドシートが取付できるか確認しましょう
ISOFIX対応商品は重量が10kgを超えるものが多く、腕力に自信のない方や、年配の方には取り付けが困難に感じるかもしれません。また、シートベルト式と比較してサイズが大きいため、軽自動車など車体が小さい車の場合、車に積み込みにくい場合があります。不安がある方は、購入前に一度店頭で重量やサイズの確認をオススメします
ISOFIX非対応の車では新基準のチャイルドシートは使えないの?
ISOFIX非対応の車でも、R129新基準のチャイルドシートを使用できます
新基準では原則ISOFIXで取付と説明しましたが、これではISOFIX非対応の車をお持ちの方はチャイルドシートが使用できなくなってしまいます
それを防ぐための例外として、
・側面衝突試験をクリアしていること
・使用基準を身長で表記すること
の2点を満たしている商品は、シートベルト固定でも新基準適合商品として販売されています
ISOFIX非対応車の方は、シートベルト固定式でR129新基準マークが表示されている商品を購入しましょう
R44旧基準のチャイルドシートはまだ使えるの?
上の子どもの時に買ったものをお持ちの方や、リサイクルショップなどでR44旧基準の商品購入を検討中の方もいるのではないでしょうか
今後もR44旧基準商品は使用することができます
ただし、チャイルドシートの耐用年数は新規購入から5~6年、未使用でも10年といわれています
耐用年数を経過した商品は材料の経年劣化により本来の役割を果たせない可能性があります
久しぶりに使用するチャイルドシートは、事前にチャイルドシートに摩耗の兆候がないか点検し、部品が損傷していることに気付いた場合は、お子様の安全のためにもチャイルドシートを交換してあげましょう
またリサイクルショップで購入する場合は、最初の持ち主の購入時期や使用状況を知ることが難しいため、自分でチャイルドシートの劣化状況を正しく確認できる方以外は購入をオススメしません
R129新基準商品を購入する際の注意点
R129商品を購入する際は以下の点に注意しましょう
- ISOFIX非対応の車の方はシートベルト式の新基準商品を購入しよう
- チャイルドシートを取り付けた場合の車内状況を事前に想定しよう
ISOFIXで取り付けできる車種、座席なのか事前に確認しよう
前述のとおりISOFIX非対応の車をお持ちの方は、シートベルト固定式でR129新基準に対応したチャイルドシートを購入しましょう
またISOFIX搭載車であっても、ISOFIXを装着するアンカーが装備されていない座席には取り付けできません
購入前に使用予定の車種、使いたい座席に取付できるかを各メーカーサイトや店頭で確認しましょう
チャイルドシートを取り付けた場合の車内状況を事前に想定しよう
シートベルト式の商品と比べてISOFIX商品はサイズ・重量ともに大きくなるため、特に軽自動車など車体の小さい車に取り付けた場合、後部座席が狭くなります
普段乗車する人数がママさん、パパさん、お子さんの3人なら大きな問題にはなりませんが、
・兄弟時のチャイルドシートまたはジュニアシートを1台すでに取り付けている
・双子で後部座席に2台取り付ける予定
などの場合、後部座席はチャイルドシートでほぼ占領されることとなります
運転席の後ろでチャイルドシートを使用すると、運転席のシート位置を調整する必要がありので、運転席のシートをゆったり使用したい方や、体格の大きめの方は運転席が窮屈になる可能性があります
運転席が窮屈になる場合は、
・助手席の後方にチャイルドシートを取り付ける
・2台取り付けの場合、小さい方のチャイルドシートまたはジュニアシートを運転席後方に取り付ける
・シートベルト固定の新基準チャイルドシートを購入する
などで対策をしましょう
無理な体勢での運転は事故につながるので、「自分が我慢すれば大丈夫」という考えは避けるようにしましょう
またアップリカのベッド型を使用する場合、隣のチャイルドシートまたはジュニアシートが干渉してベッド型にできない可能性がありますので、事前に店頭で実物のサイズを確認したうえで、チャイルドシートをどのように配置するかをよく検討しましょう
より安全な新基準のチャイルドシートで子どもを衝撃から守ろう
今回は、チャイルドシートの新基準R129について解説しました
新基準では以下の4点が変更されました
・後ろ向き取付の期間が12か月→15か月に延長
・表記基準が体重→身長に変更
・側面からの衝突試験の追加
・衝突試験でセンサー付きダミー人形を使用し、より詳細な負荷が想定可能に
安全性能が一層高まり、万一の事故や急ブレーキの衝撃から子どもを守ってくれます
ISOFIX非対応の車の方は、新基準のシートベルト固定式チャイルドシートを購入しましょう
また取り付ける車のサイズや乗る人数を考慮して、購入するチャイルドシートを検討しましょう
車を運転する以上、どんなに気を付けても事故の可能性は0にはなりません
万一に備えて、より安全性の高いチャイルドシートで子どもを守ってあげましょう
最後までご覧いただき、ありがとうございました
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